Cさんの体験談

Cさん/50代 女性

トイレの心配がなくなり、温泉旅行も楽しめるように
~便失禁治療やSNM(仙骨神経刺激療法)を受けて~

直腸の手術で肛門の筋肉を切除

私が初めて肛門の診療を受けたきっかけは、血便でした。すぐに肛門の専門病院を受診し、原因は痔との診断。しかし、さらに大腸内視鏡検査で詳しく調べていただいたら、直腸にカルチノイドが見つかったのです。50歳目前のことでした。

カルチノイドとは悪性化するかもしれない腫瘍のこと。がんではありませんが“がんもどき”なんだそうです。きれいに取ってしまえば問題ないそうですが、私の場合、広範囲に深く腫瘍の根が張っていたため、かなり大きく切り取らなければならないとのことでした。腫瘍の場所が肛門に近く、肛門の一部も切除するため、もし腫瘍を完全に切除できなければ、人工肛門にする必要があるとの説明を受けました。

しかしおかげさまで、直腸の手術は無事成功。先生から「大丈夫ですよ、すべて取りきれました」と言われたときは、とても嬉しかったことを覚えています。

便もれが気になって、ナプキンが手放せない毎日に

しかし、本当に大変だったのは、手術を受けてからの生活でした。排便をコントロールできなくなったため、夜用のナプキンを毎日当てて過ごさなければならなくなったのです。当時は便もれが気になって、両ひざをつけて小股でぎこちなく歩いていました。買い物の途中で急にトイレにかけこむこともしばしば。外出するときはトイレの場所を確認しないと心配…という不自由な生活がしばらく続きました。

手術した翌年には、切除した部分の組織を縫い合わせる手術を受け、症状は少し改善しました。また、お薬などを使った治療も継続的に受けていましたが、「これ以上の回復はないかもしれない」と限界を感じていたのも事実です。特におなかの調子が悪いときは、自分の力で便を止めようと思っても、無意識に出てしまうわけですから…。

気兼ねなく外出できる生活に戻ることができて大満足

SNM(仙骨神経刺激療法)を受けてみようと思ったのは、そんなときです。主治医の先生から説明があり、「このままでいるよりも、今の状況が少しでもよくなるのであれば!」と希望が湧いたのを覚えています。装置を体内に植え込むといっても、場所はお尻ですし、抵抗感はありませんでした。不安よりも「今の状況から抜け出せるのでは」という期待の方が大きかったですね。娘たちが賛成してくれたことにも背中を押されました。

結果、自分自身にはSNMがとてもあっていたようで、今では外出先でトイレの心配をしなくてもすむようになり、家ではナプキンも使わなくなりました。外出するときも、よほど長時間でなければナプキンを使うことはありませんし、使ってもまず汚すことはありません。また、装置を植え込んだことによる違和感がないので、日常生活ではイスに座っても、お風呂に入っても、買い物に行っても、バスや飛行機に乗っても大丈夫。病気になる前と、ほとんど変わらない生活を送っています。

おかげさまで、娘の結婚式でグアムにも行ってきました。あちらではプールで泳いだり、ウォータースライダーをすべったりしたんですよ。治療前は控えていた友人との温泉旅行も、今は不安なく楽しんでいます。

これからもアクティブに人生を楽しんでいきたい

先生からは、機械だけに頼らず、肛門を締める筋肉トレーニングも続けるよう、ご指導を受けています。私は朝夕の犬の散歩のときに、肛門を締めて下腹部に力を入れながら歩くように心がけています。肛門を締める力は加齢とともに弱っていくそうなので、これだけは毎日少しずつでも続けていきたいです。

SNMを受けてもう3年が経ちますが、年々状況がよくなっていくのを実感しています。特に、便意を我慢できる時間は、以前よりずいぶん長くなりました。肛門に力を入れれば締まる感覚もあります。唯一の課題といえば、おならを自力で止められないことでしょうか。しかしこれも、少しずつコントロールできるようになっていくのではと期待しています。SNMが私にはとてもあっているのだと実感しています。

今年には2人目の孫が生まれる予定ですので、孫の世話も今まで以上にがんばりたいですね。また、以前はよく着付け教室の仲間と着物を着て歌舞伎を観に行ったり、浅草に出かけたりしていたのですが、SNMのおかげでトイレの心配もなくなりましたから、またそんなこともできればと思っています。

人間歳をとれば、どこかに不具合が出てくるもの。ですから私は、SNMのための装置を体内に植え込んでいることを、まわりの人たちにもオープンにお話しています。親しい友人には「ここに入っているのよ」なんて触ってもらうことも(笑)。それで変な気遣いを受けることはありませんし、かえって気兼ねなくお付き合いできるのではないかと感じています。

便失禁治療を受けなければ、私は今でもナプキンを当てて、温泉にもいけない生活を続けていたことでしょう。この自分に合った治療法に出合えたことに感謝しながら、これからもアクティブに、旅行や孫の世話、友達づきあいを思い切り楽しんでいくつもりです。

総監修医療法人三慶会 指扇病院 副院長、排便機能センター長 味村俊樹先生