治療方法について
監修:旭川医科大学 腎泌尿器外科学講座 准教授 橘田岳也 先生
過活動膀胱は治療方法のある病気です。検査や治療に関係する様々な情報をご紹介します。
問診と検査
●問 診
日常生活にどの程度の支障があるのかを、今までにどのような病気があったのか、などできるだけ具体的に聴きます。症状の特徴や傾向がわかり、診断や治療をより適切に行うことができます。
●過活動膀胱症状質問票(OABSS)
過活動膀胱の診断、重症度の判定に使用します。
(OABSS)はこちら
●尿検査
血尿がないか、細菌が入っていないか、炎症はないかなどを調べます。
●腹部エコー検査
膀胱に残っている尿(残尿)の量や、腎臓・膀胱の形や状態、がんや結石の有無などを調べます。
●排尿日誌
尿の状態をさらに知るために、排尿日誌をつけてもらいます。1日のうち、トイレに行った時刻、尿の量、などを記録していきます。排尿日誌をつけることで、その人の尿のトラブルの特徴や傾向がわかり、診断や治療をより適切に行うことができます。
●尿流量測定(ウロフロメトリー)
測定装置のついたトイレに排尿をしてもらいます。1回の排尿にかかる時間、尿の量、尿の勢い、排尿のパターンなどがわかります。必要に応じて、その他の検査が行われます。
治療方法の種類
●生活習慣の改善
過剰な水分摂取やカフェイン摂取を控えることで、頻尿・切迫性尿失禁の改善することがあります。また、早めにトイレに行く、外出時にトイレの位置を確認しておく、などの工夫で、切迫性尿失禁を防止しやすくなります。高齢者では、トイレ環境の整備や脱ぎやすい服にするなど、日常生活で工夫できることもあります。
●膀胱訓練
膀胱訓練は少しずつ排尿間隔を延長することにより膀胱容量を増加させる訓練法です。具体的な方法としては、排尿計画を立て、短時間から始めて徐々に15~60分単位で排尿間隔を延長し、最終的には2~3時間の排尿間隔が得られるように訓練をすすめます。
●骨盤底筋体操
弱った骨盤底筋を鍛え、筋力をつけることで、過活動膀胱の症状の改善に効果があると言われています。
●薬による治療
膀胱の収縮を抑えるお薬や膀胱の広がりを促進するお薬で尿を溜められるよう改善を図ります。
●ボツリヌス療法
通常の薬物治療で改善が得られない、または薬剤の副作用のために治療継続ができない過活動膀胱(切迫性尿失禁)に対して行われます。尿道から内視鏡を挿入し、膀胱内から膀胱壁にボツリヌス毒素を注入する治療です。
●SNM(仙骨神経刺激療法)
SNM(仙骨神経刺激療法)とは、排泄に関連した神経を心臓ペースメーカに似た小型の刺激装置で継続的に電気刺激し、症状の改善を図る治療方法です。欧米では、過活動膀胱に対する有効な治療方法のひとつとして20年程前から実施されています。